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終電の一個前の電車に乗ってた時のこと。

転載元:死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?307


終電の一個前の電車に乗ってた時のこと。
電車内には俺と、右斜め前の対角線上の席に座っている、酒を飲んでる汚いおっさん一人。電車ん中で酒飲むなよと思ったけど臭いも届かないしまあ良いか~って感じで携帯見てすごしてた。ちょっと恋愛関係で良いことがあった帰りだったもんで…
ずーっとそのおっさんと二人だったけど、ある駅に停車した時、おっさんの近くのドアの外側に一人のリーマンが立ってるのが見えた。
別に気にもかけずにそのまま携帯見てたら、

「なに見てんだよ」

って急に言われた。
機械的な声。ビックリして目をあげると、そのリーマンのニヤニヤ顔がすぐ近くにあって、俺の携帯を覗き込んでいる。
うお、何だこいつってめちゃくちゃビビりながらよく見ると第二の衝撃。
リーマンに体が無い。
っていうか、"ここに"無い。
見ると、体をホームに置き去りに、ろくろ首みたいに首だけ伸ばして電車内に入ってきていた。
酒を持ったまま固まっているおっさんが目に入る。おっさんも明らかにリーマンが見えている。
リーマンの顔に目を戻す勇気がなくて、暫くおっさんと見つめあっていると、電車が閉まる音楽が鳴った。
車内に入ってくる気は無いのか、その首長リーマンの顔が「いいいいい~」って笑いながらスルスルと車内から出て行く。
良かった~と安心していたら、首が完全に出る直前に、閉まっちゃったんだよね、ドア…。車掌さん、あんたリーマン見えてないの、何で閉めるの…って今では思う。
ろくろ首じゃなくて、ゴム人間だったのかな。伸びた首がドアに潰されてペチャンコになりながらも、リーマンはニヤニヤ笑っていた。

電車が動き出す。挟まった首はビヨーンと伸びてついてくる。窓の外に、棒立ちのままのリーマンの体が後方に流れて行くのが見えた。

「いいいいいいいいいいいいい!!」

奇怪な笑い声をあげながら顔を左右にビチンビチンとドアに打ち付けてなおついてくるリーマン。
もうやめてくれ!って思いながらしばらく震えていると、伸び縮みの限界が来たのかドアの隙間をスポんっ!って抜けて夜の闇に消えて行った。

その後すっかり酔いが醒めた様子のおっさんと震えながら次の駅で降り、なんやかんや二人で飲みに行くことにした。
間近で顔をブンブン振られていたおっさん。俺の何倍も怖かっただろうな。
連絡先は交換しなかったけど、元気にしてるだろうか。

おわり
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